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コンバーター歴訪 躍動の鍵 瀬村商店
破天荒な業態、鮮明な上昇軌道
サイドシール加工主業

2010.04.15 軟包装通信

記事要約

 サイドシール加工を表看板に掲げ、実際も同製袋加工の展開が主業容であり、グラビア印刷もドライラミネート加工も複数の協力企業が担う特異な「コンバーター」が、成長軌道を鮮明にしている。従来の業界的定義を覆す破天荒とも言える業態とは裏腹に、例えば空調・防虫対策は徹底、あるいは多数の独自開発パウチ品(特許取得製品)を有し、あるいはまた在庫ゼロの達成等々、快進撃を支える健脚の土台はむしろ優れて正統的で、コンバーターとしての拡充ぶりはおそらく全国的にも際だって比肩がない。個性はコンバーターの快調な羽ばたきは、"従来"が支配的案同業他社に、"何か"を示唆して痛烈だ。

開発志向"特殊袋の百貨店"の横顔も

 天馬空を往く格好の個性派コンバーターは、瀬村商店(奈良県橿原市、電話0744-24-0717)。昨年9月24日に竣工稼働した新たな加工拠点・本社屋は、この優れた独自企業の躍進を例証するように、総敷地面積3000坪内に述床面積2000坪の本社工場が端然と構え、その端正な表情の外観はこの企業の"自信"を伝えて雄弁とも映る。

「主業務」製袋は逆に"協力工場"としても稼働

 同社には現在、27台の製袋機が稼働するが、その全てがサイドシール機(ほとんどがキョウエイ製の特殊仕様機)。スリッター(2台)、裁断機(1台)も工場内に稼働するが、グラビア系コンバーターの"顔"に位置するだろうグラビア印刷機はなく、ドライラミネート機もない。印刷は9社のプリンターが担い、同じくドライラミ加工も2社の協力工場が担う。自社で設備はもたない。もったことがない。さらに記せば、同社の営業社員は4名にとどまる。
 逆に看板業務である製袋は、実は協力工場としても稼働する。コンバーター等の「顧客」からの大ロット受注を引き受け、継続的に大ロット受注が舞い込むからだ。本社工場だけで450万袋/日の製袋能力を誇り、さらに協力工場(2社)にも11台の製袋機が稼働する事に加え、サイドシール機の機種が豊富な事情も、同社をして「協力工場」としての展開を継続する見逃せない理由になっているようだ。本社工場の製袋機26台をあえて「特殊機能」は別に措き、「幅」だけ列記しても、300ミリメートル・2台、400ミリメートル・6台、500ミリメートル・7台、650ミリメートル・4台、700ミリメートル・4台、800ミリメートル・1台、900ミリメートル・1台、そして1,000ミリメートル・1台という具合。あまつさえ、同社は"即応即納"主義で、現在稼働する製袋機に関しては「±ゼロ」の製袋精度も誇るのだ。「受注」側から見ればいきおい、信頼できる最優良「協力企業」。「受注」が舞い込み続けるゆえんだろう。

業界版サプライチェーンマネージメント

 創業者の瀬村崇社長は、地元・橿原市が靴下産地であった事情もあり、もともとは靴下用の袋の製造に取り組んでいた。ところが顧客である靴下メーカーの生産拠点シフト=中国への移転が相次ぐ状況に危機感を強め、事業の軸足を軟包装分野へと傾ける。初のサイドシール機導入は、1990年、バブル景気終焉の2年前の本格的な船出だった。後発参入の同社は、振り返ればその急カーブの成長軌道をいわゆる"失われた10年"、実体経済的には歴史的逆風を浴びながら、描き続けてきたのだ。
 秘訣は何か。「我々の仕事はサービス業、いかにサービスできるかが鍵」、「1円のモノを1円で売っていては利益など出ないが、90銭で販売すれば10銭の利益が生じる」「我々の仕事とは要するに何銭商売、従って例えば残業など論外で、残業費はもちろん、電気費も利益にとり害悪だ」「あえて社是を言えば、社会への貢献、お客様への貢献で、そのためにはより良い製品を、より廉価で、より早く提供すること」「創業以来、絶えず他社よりも1銭でも2銭でも廉価な加工製品づくりに努力を重ねてきた」等々、コンバーター企業としての業態と同じく人柄も強烈に魅力的な瀬村社長の発言はあげて、実績の支えも影響してか、直截的だし魅力的だし何より説得的に響くが、矢継ぎ早に飛び出す台詞の中から「秘訣」を探るのは空振りに終ろう。説得的か否かは別にして、同様な発言をする業界関係者は決して少数ではないからだ。
 この企業の鮮やかな成長の「秘訣」は、特別ウルトラCを駆使した成果などではなく、上記等の「発言」(経営者としての決意)の言文一致にあるに違いない。同社は例えば、「より良い製品を、より廉価で、より早く提供」することを実践しているし、あるいは例えば残業は事実なく、のみならず「3時で工場を閉めることも決して珍しくない」のだ。
 取材中、有限実行で最も驚いたのが「ウチは昔から、発注書がなければ何も作らなかった」。つまり同社は製品在庫なし、言い換えれば印刷製袋加工はジャスト・イン・タイムで、これを別言すれば同社は「昔から」、業界版サプライチェーンマネジメントを実現していたのだ。この達成はおそらく業界の先駆を成しただけでなく、現在でもあるいはグラビア軟包装業界では唯一の達成企業かもしれない。
 同社の倉庫はほぼ常に、製膜メーカー、協力企業(コンバーター、プリンター、ラミネートメーカー等)の配送車で満員御礼状態。実に500トン/日の原反・印刷原反が運び込まれ、運び出されるそうだ。

開発志向型企業

 個性は企業の有力な横顔は「開発志向」。例えば「両マチ付変形袋」。要するにサイドガゼット袋で、膨らみのあるサイドシール袋はそれだけ膨らみのある中身に対応できる。その他。立体的な厚みのある製品に適応しきわめて美しく中身が収まるパウチで、ブリスターパックなどと比べ大幅なコストダウンの可能な「フォーミングパック」。二つの製品を分離して吊り下げ販売することが可能、折り畳んで販売することができ、狭いスペースにも有効に活用できる機能性を備える「折り畳み式2P袋」、あるいはヘッダー袋の中にサブポケットを挿入することで関連性のある商品を販売することが可能になり、セット販売や景品用のパッケージとして最適な「サブポケット袋」等々、同社の実用新案登録商品は多数を数える。この開発志向が同社の比肩なき健脚を生む有数の「秘訣」であることは疑いあるまい。
 印刷、ラミは「協力企業」が支える事情から、同社はコンバーターとして溶剤・環境対策費は過負担でなく、それだけに工場内環境設備は特筆に価する充実を見せる。例えば「熱回収外調機」で工場内の空気は、屋外に設置された高性能なフィルタを通し熱気、塵埃、害虫等を完全に取り除いて工場内に供給され、加えて「陽圧設備」の稼動により工場内の気圧は高く維持され、扉などから虫が侵入することはない。人の入室はエアーシャワーのみで、出荷は三重シートシャッターを通す。人体に付着するゴミ、ホコリ、毛髪などの工場内遮断はもちろん、虫防止は徹底しており、空気の出入りに関わる防止は前記「熱回収外調機」や「陽圧設備」で、さらにエアーカーテンには防虫用エアーカーテンが付き、同じく出荷場には蛍光灯にも低誘虫チューブを装備、工場内には随所に防虫灯も設置している。その工場内環境設備の充実は、製袋を主業とする軟包装系企業としてはおそらく屈指であるに違いない。もちろん、靴の履き替えなど社員個々の「環境指導」も徹底。工場内だけではなく、ロビー、応接室、展示ルーム、事務室等々、新工場は隅々まで、清潔感に満ちている。

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